小さな勇者達 7

 

 リカには、フジヤマスターがあかない理由がわかっちゃったぞ!
「なーなーすばるー」
おとなたちは話し合いしっぱなしできづいていないんだ。
かんじんなとこがだめだな、おとなは。
「あのなー」
すばるのスーツをつんつんしたんだけど、こっちむかない。
もういっかいひっぱったら、すばるはチラッとリカを見て、
「すまないリカ、ちょっとまっていてくれないか」
っていったきり、また王先生たちとの話に戻った。
むー。

 しかたないな、リカがなんとかするしかないぞ。
リカはフジヤマスターを銃の台座でコンコンしてみた。
うごかない。
でもリカわかってる。
こいつ、うごいてないふりをしてるんだ。
こんどはフジヤマスターの差し出したままになってる手によじのぼってみようとした。
「何しているんだリカ。あぶないぞ」
そしたらようやくすばるがリカの方をちゃんと向いた。
「こいつ、さっきうごいたんだ」
「うごいた?」
すばるのまゆげがきゅっとなる。
「動いたって、どこが?」
「モノアイがな、ちらちらっとな」
そういったら、すばるはもうしわけなさそーに、ふーってためいき。
「動力が止まっているから、モノアイは動かないよ。たぶん気のせいだ」
「気のせいじゃない! ちょこっとうごいたんだ!」
みんなフジヤマスターを見上げた。
ほらほら動けー!
でも、フジヤマスターはずるいんだ。うごかないんだ。

 「あのな、すばる、このスターな、きっと、しんじろーがいなくてさみしかったんだ」
だからな
「だから、しんじろーを出さないようにしてるんだと思う」
間違いないぞ!
きっとさみしいんだ!
しんじろーがちっこくなっちゃって、動かしてもらえないからな!
だから動かないふりして、しんじろーをしまっちゃったんだ!
「リカ殿、スターに意思はないのです、残念ですが……」
「そんなことない!」
王先生でもそこんとこはゆずれないぞ!
だったらしんじろーを助けたりしないはずじゃないか。
リカとみんながいいあらそってたら、中からコンコンって音がした。
しんじろーだ!

 (すばるたーん)
「新次郎、寝ていていいと言ったのに、もう起きてしまった?」
(あのね、でんき、もうすぐきえちゃいそう……)
懐中電灯か!
すばるの顔が一瞬きつくなったように見えた。
「すぐに出してあげるから、もう少し寝ていて」
(ねむくないようー)
ちょっと泣きそうな声だ。
リカだって、スターは大好きだけど、まっくらな中ででらんなくなったらなくかもしれない……。
いやいや、リカ、なかないけどな!

 「もうのんびり話し合っている時間はない。僕のスターでこじあけよう」
すばるはそう言うけれど、みんなはうなづかない。
スターを壊したくないんだ。
「他に方法がないだろう!」
「待ってください、ハッチのドアノブに問題があるのかもしれない。周囲を焼き切れれば損傷を最小限に……」
むずかしーはなしだなー。
(すばるたんー)
また、しんじろーの声がきこえてきた。
(でんき、きえちゃう、すばるたん、くらいのこわい……)

 すばるはパッとふりかえると、自分のスターの前にはしっていった。
「昴殿!」
王先生も慌ててはしってく。
止めたってだめだ、リカだってこじあける!
でもそのまえに、フジヤマスターにいわなきゃ。
「しんじろーがおまえをきらいになっちゃうぞ!」
リカはでっかい声で叫んだ。
「いいのか!?」
スターの足をけっとばす。
ごわーんってすごい音。
あしのさきっぽが痛かった。
「くらいのこわいって、言ってるぞー!」
チラッと見たらすばるがランダムスターに登っていくのがみえた。
でもやっぱりフジヤマスターは動かない。
そうだ、リカが言ったんじゃだめなんだ! つうじないんだ!
しんじろーがいわないと、だめなんだ!

 

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スターに1のダメージ!リカに5のダメージ!

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