小さな勇者達 6

 

 リカがキャメラトロンでれんらくしたら、すばるはすぐやってきた。
ほんとすぐだ。
はしってきたんじゃないかと思うぐらいはやかったけど、すばるはぜんぜんいつもどおりのかお。
「おや、新次郎はどこに?」
まっすぐ入って来たすばるにきかれたけど、みんなあいまいにわらってる。
あはは、ちょっとおもしろいな!
あ、なんておもしろがってる場合じゃないな、すばるはみんなの顔を見て、あっというまにいろいろわかったと思う。
すばるはかわってるからな、かおみただけでわかるんだ。
「新次郎はどこだ?」
おなじしつもんなのに、さっきとぜんぜん違うこえでちょーこわい!
「リカ」
「うきゃーっ!?」
しまったー! にげとけばよかったー!
「り、リカ、トイレ!」
はしってにげようとおもったら、なんだかあしがぶんぶんからまわりだ。

 すばるがリカのくびんとこをつかんでた。
ふりむいたら、すばる、すっごいえがお!
ぎゃー! こわい!
「新次郎は、どこ?」
「し、しんじろーは、スターんなか!」
「フジヤマスターの?」
すばるが手をなはしたから、リカはぶじにちゃくちした。
あーこわかった。
すばるはフジヤマスターをみあげてる。

 「新次郎!」
(はーい)
すばるの声がきこえたのか、なかからようやく聞こえるおとでへんじがあった。
「でておいで! もう帰るよ!」
あ、なかにいるのは知ってるけど、すばるはしんじろーが出られないって知らないんだった。
(あのねーすばるたん、ふた、あかないの)
「開かない?!」
すばるのめがつりあがってく。
「すみません昴殿、ちょっとよいですかな」
王先生がすばるのとなりにちかよって、せつめいをはじめた。
さすがだ。リカだったらこわくて絶対そんなことできない。
なんていうんだっけ、えーっと、じさつがんぼう。だ。

 「動力が不安定なまま、新次郎を中に?」
「申し訳ありません、他に方法を思いつかなくて」
すばるはながーいためいきをついた。
それから、ちょっとだけこまったように笑った。
「新次郎が入りたがったのでしょう。あの子はスターが大好きだし、王先生の責任じゃない。それよりも、なんとかしてハッチをあけないと……」
おお、怒ってないみたいだ。
たぶん王先生だったからだ。
これがもし、サニーとかサジータだったら、きっとたいへんだったぞ。

 すばるはハシゴを登って、まだハッチをあけようとしてたみんなの横にこしかけた。
「新次郎、聞こえるかい?」
(すばるたん!)
しんじろーの元気なこえ。
「今、みんなでハッチをあけているから、中で眠っていていいよ」
うおー、すげー、ねてろって、むちゃいうなあすばるは。
(じゃ、ねてますね!)
あはは! さすがしんじろーだ。

 そんなわけで、なかでしんじろーが(たぶん)寝ているすきに、みんないろいろがんばった。
ハッチをうんうんするのはもうさんざんやってるけど、でもひっぱったり。
あと、すきまんとこをみんなでむりやりあけようとがんばったり。
でもだめだった。
ぜーんぜん開かないんだ。
さっき、しんじろーが入ったばっかりのとき、モノアイが動いたのも、きのせいなのかも。
みんな、今はスターからおりてはなしあいのさいちゅうだ。

 「やはり、もう強引にあけてしまうしかないんじゃないか」
「ですが、なるべく傷をつけないようにしないと、あとで新次郎殿が悲しみます」
「最後にもう一度、俺達がハッチをあけてみます」
「いや、ハッチは無理だ。だろう?」
なんてなことを、むずかしーかおで話しあってる。
あーあ。
フジヤマスター、なんであかないのかなー。
見上げても、フジヤマスターはびくとも動かな……。

 あれ?
いま、モノアイがちょこっとだけうごいたような。
あっ、また!
フジヤマスターは、チラチラっとみんなをみてるぞ!
リカ、ハッチがあかないわけがわかった!

 

TOP 漫画TOP 小さな勇者たち1へ 前へ 次へ

そこまで恐れられていないと思いたい。

inserted by FC2 system