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一章 ―計画―

 我々の当初の計画では、マイケル・サニーサイドか、九条昴を拉致する手筈であった。

 組織上層部からの命令で、急遽多額の資金が入用になったのだが、
どうにもその金額が多すぎて工面のしようがなかったからだ。
手段を問わず現金を調達しろ、とのお達しであったから、それなりの方法でやれ、と言う事であろう。
計画の初期段階で、念のために上層部にお伺いを立てた所、
案の定、うまく実行せよ、との返答であった。

 ただし、サニーサイドではなく、九条昴を、だ。

 双方ともゴッサムで有数の資産家であったが、サニーサイドでは大物すぎる。と言うのが上の判断だ。
大統領とも親交があり、たしかに莫大な財産を所有しているが、桁が大きすぎる。
 一方、九条は資産こそサニーサイドに劣るが、ジャパンでは有数の、歴史ある名家の出だと言うし、
我々が早急に必要としている資金を調達するには十分な財産を個人でも所有している。
もし万が一、資金が足りないとなった時は、直接の上司であるサニーサイドも協力を惜しみはしまい。との事であった。

 したがって、この数日間、我々は九条昴に対し粘り強い監視を行って来た。
何時に出勤し、何時に帰宅するか。頻繁に出かける外出先はどこか。交友関係や趣味に至るまで。
情報は多いに超したことはない。

 この時点でのネックは、ターゲットと親密な関係にあると思われる、ジャパニーズの存在だった。
タイガーとか言うふざけた名前の少年。女の子のような顔立ちをしている。
しかし調査してみると意外にも20歳の成人であった。

 彼らは外出時、ほとんど行動を共にし、個人で行動することはまずなかった。
実際に拉致する際は、このキティタイガーをどうにかするか、
九条昴の自宅ホテルで行うと言うのが最終的な結論であったが、
どちらを実行するか計画を煮詰めているうちに、重大な報告が入った。

 

 

 この数日間、九条昴が子供を連れて帰宅している。

 

 

 しかも、タイガーは不在。
連れている子供は男の子で、まだ3〜4才といった所か。あきらかにジャパニーズの子供である。
九条本人の息子かどうかは不明だったが、タイガーとの血縁関係は確実なようであった。
幼いながらも面差しが似ている。
 九条がこの男の子を大変かわいがっているのは誰の目から見てもあきらかで、
高級な衣服を与え、決して自らの傍から離さなかった。
つい先日などは、通常の勤務の時間になっても、二人がまったく部屋から降りてこないのでいぶかしんでいた所、
高い診療費用をふんだくる事でも有名な、NYでも有数の名小児科医が九条の自室を訪れていた。
件の男児の診療を行っていたようだ。
 そしてその日、ついに二人が部屋から出てくる事はなかった。
新しいレビューが始まる直前の、シアターでのトレーニングを休んだのだ。

 これは本物だ。

 

 計画は大幅に変更になった。
子供がいるならば、断然そちらの方が拉致しやすい。

 

 なによりも、
子供ならば身代金を入手した後で、さらにその子を売り払ってしまえば再びまとまった金が手に入る。

 

 単純に、子供が欲しい大金持ちは沢山いたし、
きれいな顔立ちの子供を性的な目的に使用する、変態億万長者はいつでも我々の連絡を待っているはずだ。
九条昴の縁者となればなおさら引く手数多であろう。

 

 

 計画は、速やかに確実に練り上げられていった。

 

 

 

 

 

 

わー大変だ大変だ!と自分で言う。
次回は昴さんも出てくると思いマス。多分。
呑気なカンジで

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※質問があったので追記、文中の「ゴッサム」とは、ニューヨークの別名です。
バットマンのゴッサムシティの語源でもありますが、映画のゴッサムシティはニューヨークではなく、架空の都市です。

サニーのことじゃないですよ

 

 

 

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