ちびじろーとリカリッタ

 

 さじーたたんにもらったいちごを、ほかのみんなにもあげることにしました。
すばるたんが、
「このままでは、たべきるまえにいたんでしまう」
と、いったからです。
そのときのすばるたんは、
まゆげがぎゅーっとなっていて、こまったようなおこったようなかおでした。

 しんじろーがすばるたんのかおをじーっとみていたら、
すばるたんはすぐにきがついて、にこにこわらってくれました。
ものすごくきれいで、しんじろーはびっくりしました。
しんじろーのほんとうのおかあたんもびじんですが、
すばるたんはもっとすごいです。
なんかいみてもびっくりします。

 「みんなにもいちごみるくをつくってあげようか」
にこにこしたまますばるたんがいいました。
みんなっていうのは、
さにーたんと、
さじーたたんと、
だいあなたんと、
えっと…。

 …じぇみにたん!
あと、りかたん。
ぜんぶで、いち、に、さん…。
ごにんです。

 あ!あと、らちっと…らちっ……。
「すばるたん」
「ん?」
「ら…らちっ…らちぇっ…」
「らちぇっとかい?」
すばるたんはちゃんといえます。

 らちっとたんです。
ぜんぶでろくにんです。

 「ろくにんぶんありますか?」
「いや、あと、あんりとぷらむのぶんもつくってやらないとうらまれてしまうな」
あんりたんは、いつもおきものをきています。
しんじろーはあんりたんがいっつもおこるのでちょっとこわいです。
ぷらむたんは、ものすごくおっぱいがおおきいです。

 「それに、しんじろうものむだろう?」
「のみます!」
しんじろーはいちごみるく、だいすきです。
おさとうがいっぱいなやつがいいです。

 「ぼくもいれて、じゅう」
すばるたんはあごをさわってかんがえごとです。
「たりないからかっていかないといけないな」

 いっぱいあまっているからつくってあげることにしたのに、
たりないからかうなんて、おとなのひとはよくわかりません。

 

 

 

 しんじろーと昴がいっぱいいーーーっぱいいちごを買ってきた!
あんなに沢山のいちご、リカ、始めて見た!
リカもいちごは大好きだ!

 「リカ、新次郎と一緒に苺を潰してくれるかい?」
昴がリカの頭を撫でてくれた。
ママみたいだ!
「いいぞ!これ、全部か!?」
「すばるたん、しんじろーは、ぜんぶひとりでやれますよ」
しんじろーが、口をとんがらせて言った。
バカだなしんじろーは!
大きい時もあんまり賢くなかったけど、ちっこいともっとダメだ!

 「こんなにあるのに無理するな!リカがちょっとだけ手伝ってやるから!」
ちょっとだけ、って言うのがいいんだ。
子供は全部自分でやりたがるからな!
ちょっとだけやらせてっていうフリをするんだぞ!

 「ありがとう、リカ」
すばるがまた頭を撫でてくれた。すっごく気持ち良い。
すばるは匂いもママみたいだし、撫でてもらえると幸せな気持ちになるんだ。
「いいんだすばる!すばるもやるか?」
「うん。…手伝ってもいいかい?」
すばるはリカに返事してから、しんじろーに聞いた。
子供は威張りたがるからな!

 しんじろーは真剣にいちごを潰してて聞いてなかった。
汗かいてる。
まだちょっとしか出来てないのに。
しんじろーは返事しなかったけど、すばるは隣でいちごを潰し始めた。

 すばるはものすっごくしんじろーに甘い。
でっかい時のしんじろーとすばるは、ふたりでいつもいちゃいちゃしてたけど、
しんじろーがちっこくなってもいちゃいちゃしてる。
でっかいときは、
「昴さん、昴さん」
って、しんじろーはいっつもすばるのあとを追っかけてた。
そうやって呼ぶと、すばるはどんなに忙しくても、
「どうした、大河」
って笑うんだ。
ちっこくなってからは、
「すばるたん、すばるたん」
って、また後にくっついて歩ってる。全然かわってない。

 「すばるたん、すばるたん」
ほら!
「どうした、新次郎」
ほらな!
「て…いたいー」
しんじろーは両手をパーにしてすばるに見せた。
「ああ…赤くなってるな…朝もやってたしね、あとは僕がやろう」
ほらほら!甘い!

 「すばる!しんじろーをあまやかしたら、強い男になれないぞ!」
リカのパパみたくなれない。
でっかいしんじろーは結構強かったけど、このまんまじゃ弱く育つぞ!
「しんじろーはまだやりますよ!ちょっといたかっただけです!」
しんじろーむくれてる。
でも、これはリカの作戦なんだ。
途中でやめさせない作戦。
リカはしんじろーの扱いが上手なんだ!
ノコがいるしな。
ノコはもしものごはんだけど、大事な友達だ。
しつけが大事なんだ。

 3人でいちごを潰していたら、昴がリカの耳にこっそりナイショ話をして来た。
「ありがとう、リカ。さすがお姉さんだな」
そうだった!リカはしんじろーのお姉さんなんだ!
お姉さんは厳しいけど甘い。
今度はもうちょっと甘やかそう。
すばるはやりすぎだけどな!

 みんなで潰したいちごを牛乳と混ぜて、あったかいミルクにとかした蜂蜜も混ぜた。
「うっわーーー!おっいしそー!」
いい匂い!
リカ、うれしくて回っちゃったんだ!
「くるくるくるー!」

 屋上に運んで、みんな、みーーーんなで飲んだ。
みんなはいいな!
パパやノコと一緒に食べたゴハンを思い出す。
狭かったから、しんじろーはすばるの上に抱っこだ。
リカはその隣。

 すばるがあっちを向いた隙に、しんじろーのミルクに角砂糖を2個放り込んだ。
しんじろーはリカを見て、びっくりした顔をしていたけど、
すぐに、にこー!っと笑った。
でかかった時と同じ顔だ。
小さくても大きくても、どっちでもかわいいな、しんじろーは!
リカはお姉ちゃんだから、時々甘くしないといけないんだ。
バランスが難しいんだぞ!
すばるはやりすぎ!!

 

リカにまでやりすぎといわれる昴さんの甘さ。
ちびじろは「ラチェット」となかなか言えない。
難しかったリカパート。らしくなくてごめんなさい。
これから先も毎回謝罪しないといけない気がします。
次は杏里。

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角砂糖は浮いてくる気がするヨ。

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